〜essay No.34 ”本当の気持ちを言えないわけ”〜
人には大抵、心の奥底に抱えた自分でも普段意識しないような
気持ちがあったりするものです。
そのような気持ちは悩みの根幹にあるような気持ちであったり
コンプレックスと強く結びついていたりするような気持ちです。
自分でも向き合うのが辛いようなそんな気持ちを言えたらいいのに
と思ったりするけれど、なかなか言えない。
多くの人に心当たりがあるのではないでしょうか。
では自分の重要な価値観と結びつくような、自分の本当の気持ちを
なぜ言えないと感じるのでしょうか。
おそらく自分自身がその気持ちを持つことを否定しているのだと思います。
これまでの経験や環境から、なかなか言えない本当の気持ちを持つことを
良いことではないと思っている。
だから自分で蓋をして、心の奥にしまっている。
でも本当にそうなのでしょうか。
カウンセリングの場では道徳的に悪いことを除いて、どんな気持ちを持っても
そこに”いいか悪いか”などの評価はありません。
どんな気持ちも、ただ存在する気持ちとして尊重されます。
よくカウンセリングに来られた方が、今まで封印してきた気持ちを話された時に
否定をされずに話を聴いてもらうことに驚かれます。
”このような気持ちを話したら、否定されると思ったのに、
カウンセリングでは否定されないのですね。”と驚かれるのです。
実は自分自身で悪いことだと思い込んでいたために
これまでなかなか人には本心を言えなかった。
でも、安心できる場で言ってみたら全然否定されることなく受け止めてもらえた。
そんな体験をしただけで、とても表情が柔らかくなったり、心も柔らかくなる方が多くいます。
自分が勝手に悪い気持ちだと決めつけていただけで、
否定されることがないことを知ることができれば、もっと自由に自分の気持ちを
表現できるようになっていきます。
もしかしたら、言えないと思っている本当の気持ちを言ってみるだけで
意外と楽になれるのかもしれません。
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