愛着と対人関係
”愛着”というと、一般的には何かお気に入りのものに対する思い入れのような
意味で使われることが多いかと思いますが
心理学用語としての”愛着”という言葉は少し意味が異なります。
心理学でいう”愛着”とは親などの養育者と子供の間に築かれる絆のこと。
この愛着は乳幼児に形成されるとされています。
愛着には3つのタイプがあるとされており、
それぞれ、「安定型、回避型、アンビバレント型」と呼ばれています。
この3つのタイプはストレンジシチュエーション法という実験によって
示されたものなのですが、実験方法は以下のようなものです。
まず母親と子供が部屋に入り、しばらくすると知らない他人が入室してきます。
すると母親は退室して、子供は知らない他人と二人きりになり、しばらくするとまた母親が
部屋に戻ってくるというもの。
その際に子供がどのような反応を示すかということを調べた実験です。
安定型は母親が退出すると泣いたり不安そうな態度を示し、戻ってくると
安心したように抱きついたりする反応を示します。
回避型は母親が退出してもあまり抵抗せず、戻ってきても歓迎しないような
態度を示します。
アンビバレント型は母親の退出時に不安そうな態度を示すものの、戻ってきても
安心した母親を歓迎する態度を示さず、むしろ反抗的な態度を示します。
安定型はその名の通り、安定した”愛着”が形成されていると考えられています。
回避型は無関心のような態度と言えます。”愛着”が希薄な状態です。
アンビバレント型は安定型と比べてひねくれているような態度と言えるでしょうか。
不安な状態に置かれたことに対して、その不安な状態を作った他者を攻撃するような
態度です。
さて、この愛着は乳幼児の時期に限ったことではありません。
実は成長するに従って対人関係の基盤となると言われています。
幼児期の”愛着”では対象が養育者でしたが、
やがてそれが自分以外の他者とのコミュニケーションに発展していきます。
自分がどのタイプなのかもしかしたら心当たりがあるかもしれません。
そして、他にはどんなタイプがあるのか、周りの人はどのタイプかなどと
考えて接してみると興味深い発見があるかもしれません。
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